農業情報研究
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原著論文
大学生を対象とした農産物における機能性表示食品に対する消費者評価
伊藤 来実水木 麻人
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2019 年 28 巻 1 号 p. 38-45

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抄録

2015年に新たな食品表示制度として機能性表示食品制度が開始された.機能性成分を含む農産物に対する消費者の需要は高まっていることから,農産物においても機能性表示食品制度の活用促進が求められている.よって,本研究では,機能性表示農産物を対象に,機能性表示に対する消費者選好を明らかにすることを目的とする.本研究は,分析対象をみかんとし,東北大学の学部1年生を対象に実施した質問紙調査の結果を分析に用いる.選択実験により回答者のみかんの選択行動データを収集し,みかんの機能性表示に対する消費者選好を明らかにするために,条件付きロジットモデルを採用した.分析結果から,知名度が著しく低い機能性成分名の表示に対しては,消費者の評価が低くなることが明らかになった.したがって,機能性表示農産物の開発においても,表示する機能性だけでなく機能性成分の認知度についても,事前に検討することが重要といえる.さらに,機能性表示食品制度の内容を知っている人ほど,機能性成分の表示や機能性の表示について否定的な評価をすることが明らかになった.今後,消費者から信頼される機能性表示食品制度を目指すためには,科学的根拠とされる研究レビューの水準の引き上げ等,現行の制度の安全性をより高めることが求められる.

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© 2019 農業情報学会
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