農業情報研究
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原著論文
担い手確保・産地維持方策としての通勤農業の可能性―島しょ部柑橘産地を事例とした意向調査の質的分析―
山本 和博中本 英里松下 秀介藤井 吉隆
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2019 年 28 巻 1 号 p. 46-62

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抄録

本研究は,生活圏から営農圏に通勤農業をおこなっている愛媛県柑橘産地の14農家への質問調査により,通勤農業の実態と産地に及ぼす効果,今後の課題とその対策を明らかにした.具体的には,通勤農業のメリットは,生活の利便性,子供の教育,共通の交通手段での情報交換,仕事と生活のオンオフの切替え,親との同居ストレスがないこと等であること,そしてこれらのメリットにより,農家子弟の離職就農者が増えていることを明らかにした.また,柑橘産地に及ぼす効果としては,通勤農業者の増加により,生産者数や栽培面積減少の抑制,産地の販売金額の向上などの効果を明らかにした.他方,通勤農業の課題は,短期的には通勤農業を行うための通勤費用等の支出であり,長期的には親の高齢化による農協の支部活動や自治会機能の維持存続であることを明らかにし,そのため,前者については,農協や行政の,一般企業なみの通勤手当や住居費等の助成が必要であること,後者については,通勤農業者の単身赴任的な二地域居住農業の推進などの支援対策を講じる必要があることを提案した.

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© 2019 農業情報学会
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