農業情報研究
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速報
大量スマート生産のためのコオロギ生態把握AIシステムの構築
秋山 大知佐々木 豊
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2022 年 31 巻 2 号 p. 59-64

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抄録

FAO(2013)は「食用昆虫:食品と飼料の安全性の将来の見通し」で昆虫食が従来の家畜や飼料の代替となり,地球環境と健康と生活に有益であると発表した.また世界的に市場拡大が期待されているフードテック&アグリテックの重要キーワードの一つが代替タンパク質であり,植物肉,培養肉,植物性ミルク・乳製品,昆虫タンパクなどが該当している.このうち,環境負荷低減や生産性・技術面から昆虫タンパク質は着目されているが,大量生産に関する研究開発は近年始まったばかりで,国内外も含めて技術が確立されておらず,課題が多い.我々は昆虫のうち,特にコオロギに着目し,食品ロスの活用,スマートアグリ生産,廃熱利用や再生可能エネルギー活用・ハイブリット生産,ビジネスモデルの検討,ベンチャー企業による新しい市場開拓などに取り組んでいる.本論文では,大量生産を前提として,生産性の向上につながるコオロギのリアルタイム生態把握システムを,AIモデルの一つであるYOLOv5で構築した.AIシステムの構築と導入によって,客観的に大量データへの対応が実現でき,汎用性と拡張性も実現した.またその評価の一つとして,新たに定義したコオロギ活動指標によって,24時間常光条件下の摂食・飲水活動に関する情報を得た.

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