本稿では,春学期の日本語教育実習で実施した音読練習における音声指導の振り返りを通して,より効果的な音声指導の方法を探るために,筆者が取り組んだアクション・リサーチについて報告する。音読練習で筆者が行った音声指導は,リピートに関する音声指導と学習者の発話における音声上の誤用への訂正行為に関する音声指導がある。この2つの音声指導を検証した結果,筆者がリピート練習中に未習語彙の発音に関する知識を教えなかったことで,学習者の中では妥当な発音基準が作成されず,学習者の発話における音声上の誤用が繰り返し起きていたことが明らかになった。また訂正フィードバックの中で,筆者は明示的訂正を最も使用していたことが判明した。音声指導における問題点の考察を通して得た効果的な音声指導とは,まず,学習者が妥当な発音基準を作成できるよう,教師が関連知識を提供する必要があるということである。次に,妥当な発音基準が作成されている学習者に修正を促す訂正フィードバックを与えることで,学習者が自身の発音基準を基に自ら正用を考えることができるようにして,最終的に自己修正できるようにすることであると考えられる。