日本地理学会発表要旨集
2003年度日本地理学会春季学術大会
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中国雲南省、洱海・湖沼堆積物における風成起源物質寄与の検討
*井上 伸夫北川 浩之
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p. 000010

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抄録

はじめに 本研究は、湖沼堆積物に含有する風成塵起源物質の動態を考察することを主たる目的とする。堆積物中には過去における気候・環境の変動が様々なプロキシによって記録されているということが認識され、堆積物を利用した多くの研究事例が報告されている。古風系・Paleo-Monsoon を復元する手法としての“風成塵”もその一つである。“風成塵”とは風系によって運搬・堆積される細粒物質を指し、東アジアにおいては冬季の北西季節風、夏冬の亜熱帯偏西ジェット気流により運搬・堆積される(成瀬、1998)。 しかし堆積物は様々な要素が混在する複合体であり、個々の堆積要素を独立に抽出することは困難である。従来、堆積組成を検討する為に粒度分析が広く用いられてきた。本研究は堆積物の風成塵起源物質の動態を考察するために、堆積物の粒度分析に従来とは違うアプローチを試みた。試料採取地および分析手法 本研究に供した試料は中華人民共和国南西端に位置する雲南省西部エルハイ(洱海)において、1998年に採取されたボーリングコアである。エルハイ湖の広さは248km2、平均水深は10.5m、最大水深は22m、標高は1975m前後で周辺の年平均気温は14℃前後である。 分析には、約10m長のボーリングコアを用いた。採取されたボーリングコアはほぼ均質・暗緑色のシルト質粘土で構成される。10m長のコアを1cm間隔にて切断を行い、それぞれについて化学的手法により有機物除去を試みた。粒度分析には有機物除去後の試料を用いた。なお粒度分布測定には、堀場製作所製のレーザ回折式粒度分析機LA-300を使用した。分析結果 分析の結果、100cm付近までは粒度組成が中央粒径値で10µm以下の変動であるのに対し、それ以下の深度では12‐16µm間の変動と徐々に粗粒化傾向を示す。 試料採取地がインド夏季モンスーンの卓越する地域であることから、粒径分布の変動はインド夏季モンスーンの変動と密接に関連していることが示唆される。

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