日本地理学会発表要旨集
2003年度日本地理学会春季学術大会
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航空レーザスキャナを活用した地形分類に関する検討作業について
*山後 公二
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p. 000015

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抄録

航空レーザスキャナは、GPS技術、航空機の姿勢データを検出する技術及びレーザパルスによる測距技術が融合して実現した新しい技術である。このシステムは、地上と航空機の2つのGPSを使用した連続キネマティック測量とIMU(慣性計測装置)によるプラットフォームの動揺を求めることにより、航空機の正確な位置と姿勢を求め、さらにレーザ測距による航空機と地上のレーザパルスが反射した地点の距離を求めることにより、地表の3次元情報の計測を実施するものである。 従来の地形分類は、地形図等の資料をもとに写真判読、現地調査から行っているが、特に写真判読に時間を要している。本検討作業は、高精度に面的な地形情報が迅速に得られる航空レーザスキャナを活用して、地形分類を効果的に行うためのデータ加工手法を検討し、国土地理院発行の1/25,000土地条件図と比較を行うとともに、試行的に地形分類を行った。 本作業は、茨城県下妻市・真壁郡明野町にまたがる約18km2を対象として実施した。この範囲は、土地条件図「小山」、「真壁」の一部である。対象地域の中央部には小貝川が流れており、両岸に自然堤防、旧河道、後背低地からなる氾濫平野が発達し、その西側に関城台地が、東側に明野台地が接している。この地域は、中世(10世紀頃)に「鳥羽(騰波)ノ江(鳥羽の淡海)」といわれた沼の跡であり、その形跡としての後背低地が現在でも見られる。 計測は、計測密度を1点以上/1m2になるように、対地高度、スキャン角度、取得幅、飛行速度を設定し、平成13年12月23日に実施した。また、平成13年12月31日に、計測した範囲と同じ範囲のカラー航空写真(縮尺1/8,000)撮影を行い、正射影画像を作成し、計測データの検証に利用した。 計測したデータから地表面の三次元データ(オリジナルデータ)を作成し、1m×1mの各メッシュ毎の計測点の存在率を調べたところ、約85%のメッシュに計測点が存在した。オリジナルデータから自動及び手動により植生、建物等の地物の除去を行い、地盤と考えられる点(グラウンドデータ)を抽出した。計測及び地物除去について検証した結果、部分的に地表面の被覆に影響を受け、例えば、針葉樹や混合林においては、地表面データを取得できず、樹上で等高線を作成している場合も見られたが、概ね地盤面を表しており、地形分類を行う際の参考となる図面の作成には十分であることがわかった。このグラウンドデータから、1mDTM(Digital Terrain Model)を作成し、その1mDTMよりカラー段彩図、傾斜分布図、等高線図を作成した。 カラー段彩図で地形表現の違いを比較するため、等間隔(計測された高さの全体の幅を一定の高さの幅で均等に色分けする)方法と、等量(度数分布を用いて各々の色が概ね同じピクセル数になるように色分けを行う)方法によって図面を作成した。両図面を比較すると、等量は、等間隔に比べて、認識できる色を有効に利用しているため、微妙な高さの違いを表現し、微地形を判読しやすくなるという利点があった。加工方法により、本作業内の地域では、土地条件図で示している後背低地や、自然堤防、段丘などと類似するような表現ができ、さらに、段丘については、上位面、中位面、下位面と判読できるような部分もあった。また、低地のより低い部分を詳細に表現することができ、過去の小貝川の浸水範囲とほぼ一致する部分もあり、低平地における水害予測や防災対策検討へ活用できるものと期待される。 傾斜分布図では、傾斜変化部分が認識でき、また、地形の境界部分がある程度抽出されていることから、写真判読の際に活用できると考えられる。 航空レーザスキャナの計測データから作成される等高線図は、従来の航空写真から等高線を作成する方法に比べて、客観的で詳細な等高線の作成が可能となることや、航空写真で影になっている部分の形状が判読可能となる。本作業では、既存の土地条件図に比べて、さらに詳細な斜面形状や浅い谷が判読することが可能であった。 以上のように、航空レーザスキャナにより計測したデータは、写真判読による地形分類を行う上で有効であることや、写真判読では認識しにくい微地形も判読できる場合があることがわかった。

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