2005年3月20日の福岡県西方沖地震では、福岡市を中心に港湾施設や家屋を中心に大きな被害を生じた。この地震による被害分布は、既に空中写真判読による液状化や家屋の被害、踏査による構造物や建築物の被害などに関する速報がある。しかし著しい被害の生じた玄界島、埋立地、警固断層周辺に調査が限られ、それ以外の地域も含めた広範な範囲、また福岡市市街地全体に関する報告がない。そこで本研究では、アンケートと踏査で得た被害情報から、広範な範囲および福岡市市街地に関する被害分布図を作成した。各分布図はポイントデータをArcViewで補間して作成した。 建物の揺れの強さの分布図では、山地の震源側(背振、三郡)の裾野、活断層(西山、福知山)の近傍、沖積低地と埋立地で大きく、扇状地や段丘では弱いことなどが示された。地震の揺れの長さの分布図でも、ほぼ同様の結果を得た。 福岡市市街地に関しては、被害分布図に基盤深度と断層位置を重ねた。これより警固断層は顕著に、那の津断層は不明瞭ながら、被害分布の境界線に一致し、その断層線のすぐ東側で被害程度が大きいことが示された。石堂_-_海の中道断層では不明瞭である。また被害分布図では基盤の深い場所では被害程度が大きく、逆に基盤の浅い場所では被害程度が小さい傾向のあることを明瞭に示せた。