日本地理学会発表要旨集
2009年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 302
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インドにおける共同森林経営と「森林」の民
カルナータカ州を事例として
*木本 浩一
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抄録

1. はじめに インドにおける参加型森林管理は、1980年代の社会林業「失敗」のあと、共同森林経営(Joint Forest Management: JFM)として、1990年代に始まった。これは、同時期に始まった、参加型森林管理の動向と軌を一にするものであった。JFMは、字義通り「住民」の参加を前提としているため、住民のあり方や住民が置かれている状況などによって、その成否において「地域」的な多様性をみせている。 本報告では、カルナータカ州におけるJFMの動向を整理した上で、指定部族の再定住集落の実態を分析する。その際、1990年代以降盛んになったコモンズ論などを批判的に敢闘することによって、対象としての「地域」と方法としての「地域」という観点から、理論的検討を行った(右図参照。その成果は、2008年8月の国際地理学会(チュニス)において報告済み)。現地調査は、2007年11月から2008年3月の4ヶ月間および同年9月に実施した。 2. 対象地域の概観 対象としたY村は、カルナータカ州南西部に位置する。同村は、1970年代に、州政府の再定住政策に基づいて、ニルギリ山中に居住していた指定部族ソリガ(Soliga)が移住し、開村した。国道88号線が貫通し、中核都市との交通の便はよい(次元1)。同村は、徴税村ではなく、隣村(a)と一つの行政区域をなし、パンチャヤートも一つである(次元2)。森林には隣接しているものの、多くの住民は、農業や都市での雑業に従事する。同村でのJFM事業は、2003年に始まり、ユーカリ他を植樹している。 3. 論点―まとめ―  Y村は、住民を巻き込んだ包括的政策をめざすJFMと、パンチャヤートにみられる地方分権の動向、2006年に始まった「指定部族及びその他伝統的森林依存民に関する法」(Tribal Bill)など、森林を含む「地域」に関する諸政策の交差点に位置する。JFMはその包括性ゆえに、森林政策としてではなく、「地域」政策として評価する視点が求められている。 【文献】 木本浩一 2008.インドにおける共同森林経営―カルナータカ州を事例として―.西尾隆編『分権・共生社会の森林ガバナンス―地産地消のすすめ―』風行社,173-196.

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