1.趣旨
愛知・名古屋で10月11日から29日まで、国連生物多様性
条約第10回締約国会議(COP10)が開催される。COP10 では、
生物多様性の保全、生物資源の持続可能な利用、遺伝資源
の利用から生ずる利益の公正かつ公平な配分をはかるための、
生態系・種・遺伝子の3つのレベルでの多様性保全に関する国
際合意が期待されている。
産業革命以降の経済優先の制作によって環境破壊が進み、
生態系に深刻な悪影響が生じた。日本の1960-1970 年代の4
大公害問題や、近年の地球温暖化問題、生物多様性保全、砂
漠化防止に至る地球環境問題が最も懸念されている。地球規
模や地域の環境問題を解決するためには、公害や環境問題
の本質を究明し、負の遺産を将来への正の資産とかえるべく、
人間と自然との関係を探る実践的環境教育の役割が期待され
ている。
本公開シンポジウムは、大学・学校、行政、NPO によって行
われている環境教育の内容を把握することで、成果や課題を
考察し、生物多様性の保全と実践的環境地理教育の役割を探
ることを目的とする。
2.公開シンポジウムのコンテンツと論点
本公開シンポジウムは4部構成となる。第1部では、生物多
様性と環境地理教育に関する基調講演を行う。第2部では、世
界各国の環境問題に伴う生物多様性への影響、環境政策に
ついて探る。第3部では、実践的環境地理教育における生物
多様性保全活動について、研究機関、学校、大学、NPO によ
る活動発表を行う。第4部では、総合討論を行い、各々の発表
に対するコメント及び実践的環境地理教育における地理学の
役割と課題を探る。
第1部:生物多様性と環境地理教育(基調講演)(40 分)
座長;井田仁康(筑波大)
・ 趣旨説明. 朴 恵淑(三重大) 生物多様性と実践的環境地理
教育
・ 基調講演1. 市原信男(環境省中部地方環境事務所長) 愛
知・名古屋生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の意
義と課題
・ 基調講演2. 秋道智彌(総合地球環境学研究所副所長) 生
物資源と生物多様性—有用性と有害性の関係価値を超えて
第2部:各国における生物多様性(60 分)
座長:梅村松秀(ERIC)
・ 森永由紀(明治大) モンゴルの環境問題
・ 金玹辰(三重大) 韓国における生物多様性国家戦略と生物
多様性教育
・ 谷口智雅(立正大・非) アジアの大都市における生物多様
性
・ 宮岡邦任(三重大) ブラジル・バンタナールにおける人間活
動が水文環境及び生態系に与える影響
第3部:実践的環境地理教育における生物多様性保全活動
(65 分)
座長:谷口智雅(立正大・非)
・ 梅村松秀(ERIC) ESD と生物多様性との関わり〜地理教育
における「生物多様性」を考えるために
・ 新玉拓也(魚と子どものネットワーク) 小学生を対象とした実
践的環境教育〜亀山市における実践的環境教育を事例に
・ 泉 貴久(専大松戸高) 中等地理教育における生物多様性
の実践〜「熱帯林開発の是非」をテーマとした高校地理A の
授業実践プラン
・ 中村佳貴(三重大かめっぷり) 大学環境サークルによる生
物多様性の調査〜三重大ウミカメ・スナメリ調査保全サーク
ルかめっぷり活動報告
・ 伊藤朋江(三重大COP10 学生実行委員会) 三重大COP10
実行委員会の活動〜生物多様性の保全と人材の育成を目
指して
第4部:総合討論(65 分)
座長:朴 恵淑(三重大):
・ コメント1. 吉野正敏(筑波大名誉教授)
・ コメント2. 犬井 正(獨協大)
・ コメント3. 井田仁康(筑波大)
・ 総合討論
3.環境地理教育研究グループの活動内容・課題
本研究グループは2005年4月から活動しており、主な研究
活動は、_丸1_研究会・シンポジウムの開催、_丸2_参考図書・教育用
教材作製、_丸3_教育手法の開発(実践的な学校教育及び生涯教
育)である。
日本地理学会において、今回を含め5回のシンポジウムを主
催(うち4回は公開)し、実践的環境地理教育について議論を
重ねている。本研究グループの重点的課題として、1)実践的
環境地理教育の充実化、2)環境問題の本質を見抜き、グラン
ドデザインを提示する研究者と人材養成を行う教育者(学校だ
けでなく地域社会を含む)との認識共同体の形成、3)実践的
環境地理教育教材の開発が挙げられる。
http://www.cc.mie-u.ac.jp/~ege/
*本シンポジウムは、COP10 パートナーシップ事業である。