日本地理学会発表要旨集
2010年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 216
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水田稲作農業地域の再編とJAの役割
JAいわて中央の取り組み
*大竹 伸郎
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抄録

_I_.はじめに
 2007年度から導入された「品目横断的経営安定対策」により,交付金の対象となる認定農業者や経営体に対して面積要件が課せられることとなった.これを受けて,2006から2007年度には集落営農の設立件数が大幅に増大している.これまで地域営農の設立による効果については,農学や農業経済学を中心に研究がなされている.地域営農の効果としては,労働力の補完や担い手農家の育成,耕作放棄地発生の抑制,ブロックローテーションによる効率的な転作の実現や分散錯圃の解消,農業機械の効率的利用,農村機能の維持による土地・水・環境等の保全機能の発揮などがあげられている。しかしながら、地域営農の取り組み内容にはこれらの効果をすべて発揮しているものもあれば,集団転作のみにとどまっているものも少なくない. 特に2007年以降、設立件数が急増している東北地方や九州地方には,「枝番管理型」とよばれる経理の一元化への対応に重点をおいている組織が多いという特徴がある(角田2009).本報告ではこうした問題を受けて,今後,地域営農組織をより有効なものとして活用し,持続可能な水田稲作農業の実現につなげるための一つの方法として,JAによる地域農業再生への取り組みを検証する.

_II_.研究対象地域の概要と本報告の内容
 本研究の対象であるJAいわて中央の管轄地域である盛岡市・矢巾町・紫波町は,北上盆地の北部地域に位置している.なかでも紫波町は,市町村別のモチ米栽培面積が全国一位であり,岩手県の中心的な稲作地域となっている.同地域内においても,2007年の「品目横断的経営安定対策」への対応を契機として,8つの地域営農組織が設立されている.そのなかには水田面積が500ha以上という日本最大規模の経営体も2つ存在している.本報告では,この大規模経営体の一つであるM営農組合を取り上げ,同組合による担い手問題や土地利用調整などへの対応を考察する.さらにM営農組合の中心的な担い手組織の営農状況や多角化戦略の分析を行うとともに,JAいわて中央が取り組む「花束事業」やモチ米の契約栽培化の推進など地域農業再編にJAが果たす役割を報告する.

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© 2010 公益社団法人 日本地理学会
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