日本地理学会発表要旨集
2010年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 306
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中国内蒙古における砂塵暴の発生とその気候条件(続報)
*境田 清隆咏 梅大月 義徳
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抄録

1. はじめに
中国内蒙古の砂漠化は、日本に飛来する黄砂の増加などからも注目されてきたが、内蒙古の砂漠化と日本で観測される黄砂との間にはいくつもの媒介項が存在する。発表者らは2003年度から内蒙古の砂漠化を共同で研究してきたが、ここでは2007年から実施してきた砂塵暴の観測事例と、砂塵暴発生に関わる気候条件の考察結果について報告する。

2. 方法
中国内蒙古自治区武川県五福号村において、2007年から春季(4月上旬~6月中旬)に、自動撮影の定点カメラ(KADEC21-EYE2)を用いて砂塵暴発生状況を監視した。昼間1時間間隔で得られた画像により、約1km隔てた林地が砂塵で隠れた日時を砂塵暴発生時とした。またカメラから約2km離れた大豆鋪郷役場で気象観測を行い、当該期間における気温・降水量・気圧・風の時間値と比較した。さらに土壌の凍結・融解も重要な条件と考え、地温および土壌水分の測定も行なった。

3. 砂塵暴の発生
 2007年の春季には典型的な砂塵暴が4日発生したが、2008年には2日、2009年は4日、2010年は2日発生した。
発生時には付近で低気圧の通過が認められるが、風速は必ずしも大きくはない。また発生日の2~4日後に日本で黄砂が観測されることが多かった。

4. 地温と土壌水分
 砂塵暴の発生には土壌水分も重要な要素である。冬季に凍結した土壌は3月末から4月末にかけて地表面から融解が進行し、その際、土壌水分の上昇が観測される。この時期が早まると、雨季の到来まで土壌水分の低下季(乾燥季)が長引くことになる。春季気温が異常に高かった2002年は、まさにその状態で砂塵暴が多発した可能性があり、この期間では2007年と2009年でその傾向が見られる。2008年は4月下旬から5月上旬にかけて降雪頻繁にあり、2010年も春季を通して低温であった。
内蒙古において夏季の植生量は6-7月降水量と高い正相関があるが、4-5月の気温と負相関を呈することがあり、それは春季の砂塵暴の発生と無関係ではないと考えられる。冬季から春季にかけてこの地域の温暖化傾向は顕著であり、その面からも沙漠化への圧力は増大しているといえよう。(本研究は科研費基盤研究B代表者 大月義徳No.20401005を使用している。)

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