日本地理学会発表要旨集
2010年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 104
会議情報

沖縄県那覇市と浦添市における学童保育の地域的展開
*由井 義通久保 倫子久木元 美琴若林 芳樹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

1.研究の背景
学童保育は1997年に児童福祉法によって法制化され,共働き世帯などの小学校低学年児童を対象に小学校の授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて,その健全な育成を図る「放課後児童健全育成事業」として実施されている。学童保育の名称は地域により多様で,放課後児童クラブ,学童クラブ,児童クラブ等の名称がある。
全国学童保育連絡協議会(http://www2s.biglobe.ne.jp/~Gakudou/)によると,既婚女性の就業継続や経済状況の停滞などによる共働き世帯の増加、あるいは離婚の増加による母子世帯の増加に伴い,学童保育の役割は重要になっており,2010年5月1日現在の学童保育の実施状況調査結果をみると,学童保育数は1万9744か所数に(3年間では3076か所増)なり,全国で80万人以上の児童が利用している。特に学童保育利用者は小学校低学年児童が多く,全国では1年生の約25%が利用している。共働き女性やひとり親世帯の母親が多い沖縄県は学童保育への依存度が高く,小学校数を基準とした学童保育設置率は107.1%で全国8位である。

2.研究の目的と方法
本研究は5歳児になると午前中保育のみの幼稚園に行き,午後からの未就学児の保育に問題を抱える,いわゆる「5歳児保育問題」を抱える沖縄県那覇市と浦添市を対象として,学童保育の状況を母親の就業との関係や地域的な保育状況・地域展開から明らかにし,保育をめぐる地域的課題の解明を目的とする。両市に登録された学童クラブへの聞き取り調査と,指導員の協力を得て学童保育利用者の就業・保育に関するアンケートおよびインタビュー調査を実施した。

3.那覇市と浦添市における学童保育の開設場所
 全国では学童保育の開設場所は,小学校の敷地内(空き教室の利用等)が約50%を占めるが,那覇市と浦添市では開設場所に違いがみられ,那覇市では44児童クラブのうち小学校の敷地内が12ヶ所,民間施設内が11ヶ所,幼稚園内が8ヶ所,保育所内が6ヶ所,児童館などの公的施設内が6ヶ所であった。一方,浦添市では22の学童クラブのうち民間施設が14ヶ所,公的施設内が7ヶ所,小学校敷地内が1ヶ所であった。

著者関連情報
© 2010 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top