日本地理学会発表要旨集
2010年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 211
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2008年8月のつくば市の気温分布
*高木 美彩
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抄録
 つくば市は,TXつくば駅および研究学園駅を中心に都市化が進む一方で,郊外には未だに開発が進んでいない地域が残る.これまでのヒートアイランド観測研究では,一般的に自動車を用いた移動観測が主体であった.しかしながら,このような観測手法では,時間補正や市街地中心部の気温分布がわからないなどの問題点もある.本研究では,つくば市内において,自然通風計45台を用いた多地点の定点地上気温観測を実施することにより,つくば市における気温分布の実態調査を行う.  定点観測を2008年8月1日~同年8月31日の期間実施した.地上気温観測に使用した測器はおんどとりJr. RTR-52(測定誤差±0.3℃)である.これを自作の自然通風式シェルターに入れ,つくば市内の公園,道路,学校,宿舎の庭等の計45地点 に設置した.測定項目は気温のみとし,測定間隔は2分に設定した.  観測データの解析に先立ち,観測地点をつくば市中心地と郊外に分類し,さらに地表面被覆状態別にグループ分けを行った.中心地の公園5地点の地上気温の平均値,郊外の公園21地点の平均値の差の日変化を比較すると.郊外では日没後気温が急速に低下するのに対して,中心地ではやや緩やかに低下するという都市気温の基本的な特徴が観測された.また,中心地の公園と道路の気温差は,日中にはほとんどないが,日没後は道路のほうが高い様子が認められる.いずれにおいても気温差が同程度であることから,つくば市の都市全体規模のヒートアイランド強度と中心地での土地被覆などに起因する局所的な気温差が同程度であることがわかる.
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