日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 628
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発表要旨
別寒辺牛湿原高層湿原における現生珪藻の側方変化
*石川 智鹿島 薫
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キーワード: 珪藻, 環境復元, 湿原, 北海道
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抄録

高層湿原の形成過程を復元することは、水位変動・環境変化を読み取ることであり、ひいては気候変動の復元が可能である。湿原などの水域においては水環境の変化に敏感な珪藻が、その環境復元に良く利用される(例えば鹿島 1986)。しかし、珪藻を用いて高層湿原の形成過程を復元するためには、低層湿原からの湿性遷移に伴う珪藻種の変化を把握する必要がある。 北海道東部の厚岸市に位置する別寒辺牛湿原には高層湿原が存在しており(図1)、そこに生息する珪藻種についてIshikawa and Kashima (2009)において4属7種とその構成種が少ないことが明らかにされた。高層湿原の規模は小さく、離れるとすぐヨシ原、低層湿原・ハンノキ林に至り、その珪藻構成は高層湿原とは異なることが予想される。低層湿原から高層湿原にかけての珪藻構成の側方変化は、湿性遷移に伴う変化に相当すると考えられる。 <BR>
2011年11月の調査において、高層湿原を跨ぎハンノキ林に至る約650 mの測線を設定し、測線の測量と測線上8地点で現生珪藻の採取を行った。測量にはハンディGPS、GPS、レーザー測距機、簡易測距機を用い、測線に沿った断面図を作成した。現生珪藻は表層水と底質から採取した。採水後pHと電気伝導度を測定した。採取試料はエタノールで固定して持ち帰り、5%の過酸化水素水で湯煎し懸濁液を作成した。懸濁液は和光純薬製マウントメディアを使用して封入し、各スライドに対し予察的観察と300殻以上の同定・計数を行った。 <BR>
予察的観察の結果、産出珪藻の種構成は地点によって異なることが明らかとなった。Ishikawa and Kashima (2009)での採取地点では同様の珪藻種が得られ、ハンノキ林・低層湿原では産出種数が比較的多くなる傾向が見られた。<BR>
現在、各スライドの同定・計数作業が進行中である。この分析から湿性遷移に伴う珪藻種の構成変化を推定し、これまで別寒辺牛湿原で行ってきたボーリングコアを用いた形成過程の復元への応用についても当日発表する予定である。

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