抄録
地誌学習の現状
生徒が楽しみながら地誌学習をしているとは思えない。それは指導者側に誤解がある。
1 「主題学習」「動態地誌的な学習」の不十分な理解
指導者が教科書を教えている状況がある。何に重点を置けばよいのかが明確でないまま、指導をしている。
2 教科書の記述や資料の構成
「どのような特色」「どのようになっているのか」といった記述がみられるが、それで生徒の追究意欲が高まるのか。教科書には豊富な資料があるため、各資料の意味を理解して軽重をつけながらつながりを考えたり、地図帳の一般図と比較したりする学習活動をする時間が十分とれていない。
3 指導の系統性の弱さ
教科書を読んで教材研究をしていると、学習指導要領に示されている学習内容の系統性がみえなくなったり、同じようなレベルの課題設定が繰り返されており、淡々と授業が進んでしまう。
4 地誌学習のノウハウが乏しい指導者
研修の機会の少ない講師、学校に1人しかいない社会科の指導者の問題や指導者自身が地誌学習を経験しておらず、指導の際に地誌学習のノウハウが乏しい状況がある。
地誌学習の課題
1 見通しをもった地理的分野の指導
系統性を意識して、次の活用できる場面を想定して学習内容を指導しておく。また、内容や扱う資料にも軽重をつけた指導をする。
2 教科書の記述や資料の構成の改善
教科書の記述でも、学習意欲を高め、主体的な学習が展開できるようにする。資料でも中心資料を大きく掲載するなど、配置や大きさの工夫を行う。