日本地理学会発表要旨集
2015年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P908
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発表要旨
ハワイ島イーストリフトゾーン溶岩流の植生回復過程
*磯 望黒木 貴一宗 建郎黒田 圭介後藤 健介
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抄録

ハワイ島キラウエア火山のイーストリフトゾーンから噴出した歴史時代の溶岩流の植生回復過程を検討するために,噴出後の経過時間と植生状況について観察した結果を報告する。

年代別溶岩流と植生等の特徴

①25年前のPuu OoKaimu)付近溶岩表面はパホエホエ独特の金属光沢を示す。覆っていた黒色岩片は窪地を除きほぼ流失し,亀裂部分からシダ植物が生育。人家近くではノニやオヒアレフアの幼木が凹地で生育する。

②40年前流出したMauna Ulu溶岩表面は金属光沢を示し,亀裂からごく疎らにオヒアレフア等が生育するが,樹高は数十㎝程度である。

③55年前にKumukahi岬に流出したパホエホエ溶岩~アア溶岩では,溶岩の窪地内にIronwoodの幼木が生育し,主として表面の落ち葉層に根を広げるが,おそらくパホエホエ溶岩の下のアア溶岩状部まで根系の一部を入れている。樹高は1m程度。全体には疎らであるが,一部人為的に幼木が密生する。

④60年前Opihikao付近に流下したアア溶岩流では,樹高10m程度のオヒアレフアなどの樹木が点在するように分布する。表面は地衣類に覆われた多孔質の礫から構成され保水性もある程度期待できるため,パホエホエ溶岩に比して植物の繁茂状況が良好であるが,明瞭な表土はない。

⑤220年前流出のPahoa南とLava Tree Monumentのパホエホエ溶岩では層厚数㎝のA0層と1cm程度のA1層が形成され,35mに達するIronwoodの高木やオヒアレヒアが茂りその根の状況も観察できた。ここでは層厚十数cmのパホエホエ溶岩の表層ユニットの表面と下面に根茎が張り巡らされている。また厚さ十数㎝の表層ユニットは多数の鉛直亀裂が入り礫化しつつある。

この地域では溶岩流下後40年程度ではごく疎らに幼木が生育される程度であるが,60年程度で疎らではあるが10m前後の高さまで樹木が生育し,225年程度では薄い土壌層が形成されて,高木を含む熱帯林を形成したことがわかる。なお,この地域は年間降水量2500mm前後のAf気候であり,植生は十分に繁茂可能である。
      

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