日本地理学会発表要旨集
2015年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 601
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発表要旨
非大都市圏におけるコーホート別の人口変動
*清水 昌人
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抄録

本報告では累積コーホート変化比(累積変化比)という指標を用い、非大都市圏のコーホート別人口変動の特徴を都道府県別に把握し、その特徴を分析する。累積コーホート変化比は、10-14歳以降の人口のコーホート変化量を累積し、その値を10-14歳時の人口で割ったもので、ある地域のコーホート規模の変化を時系列で把握する指標である。Inoue(2014)の累積社会増加比と異なり、死亡による変化を含むが、本報告で対象とする10-14歳から35-39歳までは死亡の影響が相対的に小さいので、Inoueの指標と似た値を示す。Inoueの指標を簡略化した指標と位置づけることができる。
近年の累積変化比のコーホート別、県別の分布を、20-24歳時、25-29歳時の値により観察した。累積比の水準は、一部の例外をのぞき大都市圏からの距離とおおむね対応しており、大都市圏に近い県で高い。他方、同一コーホートの20-24歳から25-29歳への変化は、東日本では大都市圏からの距離減衰の兆候がある程度見られるが、西日本でははっきりしない。
近年の非大都市圏全体では、20-24歳から25-29歳にかけての累積変化比の変化は、回復→変化なし→減少の順に推移し、若いコーホートほど減少局面にある県が多い。1971-75年生まれから1981-85年生まれの値で各県を分類すると、東日本では大都市圏から遠いほど若いコーホートで減少局面に入る傾向が一定程度見られる(図1)。ただし西日本を中心に、大都市圏から遠い県でも依然、回復局面にある地域が散見される。

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