日本地理学会発表要旨集
2016年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 301
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発表要旨
ユラン半島東岸の港湾都市キールとリューベクの変容
*生井澤 幸子
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抄録

ドイツの16の連邦州のなかで唯一北海とバルト海に面するシュレスヴィヒホルシュタイン州の2つの港湾都市、キールとリューベクを取り上げ、都市の発展をテーマに時系列的に比較検討した。19世紀に、これら2つの都市の力関係が逆転し、キールがリューベクを凌駕し、その後、現在にまで至っていると考えられるからである。キールは、ドイツ帝国成立によって、海の祭典であるキーラーヴォッヘが世界的なフェスティバルとなり、また、キール運河が開通している。戦後は、伝統的な産業である造船業に加え、新たな産業である金属・機械・ITなどの産業が集積した。水陸の交通の要衝としての機能に商業機能が加わった都心には集客力がある。一方のリューベクは旧市街全体が世界文化遺産であるが、川沿いの17kmに渡って核が分散し、観光業に依存し過ぎたことが、都市の発展にはマイナスであった。

 

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