日本地理学会発表要旨集
2016年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: S0208
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要旨
教育におけるGIS/ARシステムの活用
大学教職課程:景観読解力と教材開発力の育成を目的とする授業の実践
*秋本 弘章
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抄録

地理教育においてフィールドワークは重要であることは言うまでもない.しかし,効果的な実施ができていないというきらいがある.フィールドに出たとしても,どのような事象に着目すべきなのか,なぜその事象を着目すべきかなど明示されているわけではないので,「目に入っていても見ていない」ということが起こるからである.また,見たとしてもその意味や背景などが理解できるわけではない.ARシステムの利用は,実際のフィールドに出て,実際の地理的事象を観察しながら,その地理的背景の探求や理解を助ける情報を提供するものである.このようなAR機能をもつGISが教育現場に提供できれば,野外観察をより効果的に実施することができる.
 本稿は大学,教職課程で設置する地理歴史科教育法で行った授業実践の報告である.ARシステムを使って提示される大学周辺の観察ポイントをめぐり,課題に回答するものである. また,教員が設定した課題のほかに,新たな課題を設定するものとした.  
,「教室の外」での学習は興味関心を高める効果があった.特にスマートフォンを使って観察ポイントを探すという方法は「ゲーム感覚があり,楽しかった.また,課題をこなすことで身近な地域の「謎」を解くようで楽しかった.」と好評であった.身近な地域に目を向けるという点で大きな効果があったと思われる.  また,教員があらかじめ設定した課題にはその内容やレベルが様々であったとの指摘があったが,あえてそのままとし,改善点を指摘するように指示した.新たな課題の設定と合わせて,教材開発力の育成を目指した.教材開発力に関しては,一回の実習のみでは十分な効果が上がったとは言えないが,今後に期待を持てる結果となった.

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© 2016 公益社団法人 日本地理学会
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