岩手県東部を流下する小本川では、2016年8月末の台風10号通過による豪雨によって上流部での斜面崩壊、土石流が多数発生したほか、下流部では流木や土砂の堆積による河床変動を伴う洪水氾濫が発生した。小本川のように山間地を流下する河川では、降雨後の洪水流出が早く、またそれに伴い、上流部からの流砂・流木が下流部にまで影響を及ぼすことが予想される。日本にはこのような河川は多数あり、洪水流出だけでなく土砂や流木の流出を考慮した川づくりが求められている。そこで、土木研究所ICHARMでは、次の数年で中山間地における川づくりのための技術体系を構築することを目標とし、流域の特性、災害の実態把握、発生した洪水や土砂水理現象の基礎情報を得るため、平成28年10月に小本川の本川及び支川で現地調査を実施した。このうち、本発表では流域の地形に着目し氾濫特性を説明する。