日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: S1506
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発表要旨
第二次世界大戦期の東アジア・東南アジアにおける日本軍・連合国軍の気象観測
データレスキューの視点から
*小林 茂
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抄録

東アジアや東南アジアの気候変動を検討するに際して、第二次世界大戦期は気象観測データが欠落している場合が少なくない。この背景として、戦前期からの観測網が軍事活動により破壊されて観測そのものが行われなくなったと考えられがちである。ただし航空機の役割が重要になったこの時期は、観測網の拡大や維持は、日本軍・連合国軍を問わず重視され、それに替わるあらたな観測網ができた場合も少なくない。しかし同時に観測データは軍事情報として秘匿され、無線による通信も暗号化されて、戦後にそれが集約されなかった場合はかなり多いと推測される。
したがって戦時期のデータ欠落については、観測が行われ、データが残存しているものを探索して集約すれば、これをある程度補える可能性がなお残されていることがあきらかである。筆者らがこれまで報告してきた『北支那氣象月報』や『比律賓氣象月報』の場合は(小林・山本2013)、データが月報としていったん印刷されても、忘れ去られていたものである。このなかには、『南支那気象概報』のように、現物がごくわずか確認できるだけというケースも多く、今後は探索の範囲を拡大する必要がある。
他方で、これまでの研究では日本軍の気象月報に関心を集中し、連合国側の事情について考慮していなかったこと、手書きの資料に十分な配慮をしてこなかったことが反省される。とくに連合国側も戦況の変化に合わせて観測網を構築・拡大しており、本発表では、この概要を把握して、今後の資料探索とデータのレスキューを考えたい。

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