主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2020年度日本地理学会春季学術大会
開催日: 2020/03/27 - 2020/03/29
本研究では,八ヶ岳南東麓に位置するミズナラ二次林を対象に,ドローンを用いた多時期の観測を行い,①ミズナラ二次林内のリーフフェノロジーの多様性を明らかにすること,②リーフフェノロジーに基づく樹種判別の可能性を明らかにすることを目的とした.NDVIの時系列変化では,常緑の樹種であるウラジロモミやアカマツは5月中旬および11月末のNDVIの値が他の樹種よりも高い.また,カラマツはミズナラ二次林内でも展葉時期が早く,5月中旬のNDVIが高い.その他,ミズナラなどの落葉広葉樹はいずれも類似したNDVIの時系列変化を示した.この時系列変化に基づき樹種の分類を行ったところ,アカマツ,ウラジロモミ,カラマツ以外を明確に分類することはできなかった.10月末の落葉の時期の森林内の葉色の多様性は最も高くなったが,同じミズナラであっても,個体ごとの葉色の差,葉の残存量に大きな差があった.今後,分類精度をより高めるためには,展葉の時期の観測頻度を高くすることで,樹種ごとのリーフフェノロジーの差をより明確にする必要があると考えられる.