2023 年 15 巻 4 号 p. 583-856
症例の概要:患者は49歳女性,複数歯の脱落,上顎前歯部の冷水痛と審美不良,咀嚼困難を主訴に来院した.残存歯すべての歯に未処置齲蝕を認め咬合崩壊による審美障害ならびに咀嚼障害を呈していた.歯周基本治療後,治療用義歯を用いて咬合挙上量と下顎位を決定し,テレスコープ義歯を製作した.
考察:咬合再構成にあたり,挺出歯や傾斜歯の削除量と残存歯にかかる側方力を可及的に少なくすることを重視した.治療用義歯を用いることで,適正な下顎位を最終補綴装置に反映させることができた.
結論:咬合崩壊した片側性低位咬合患者に,咬合挙上により適正な下顎位とアンテリアガイダンスを与えたテレスコープ義歯を装着し,咀嚼機能や審美性が改善された.