2024 年 16 巻 2 号 p. 221-226
上顎無歯顎,下顎前歯残存症例において特徴的な口腔状態を示すコンビネーションシンドロームは,アンテリアハイパーファンクションシンドロームとしても認知されている.アンテリアハイパーファンクションという用語は正確に定義されていないが,その用語から下顎前歯による過大な咬合力と推察できる.これは,コンビネーションシンドロームに代表される歯列だけでなく,アイヒナーの分類のC1やB4の歯列においても観察される.この病態は,臼歯部の咬合支持の弱体化や喪失,さらには咬合高径の低下に起因することが多い.
本論文では,アンテリアハイパーファンクションがもたらす口腔状態を整理し,その原因と臨床的対応について考察する.