2017 年 9 巻 3 号 p. 186-190
構音障害に対する取り組みの入口として,舌がんに対する舌摘出術後の人⼯舌治療を行っている.この治療が,補綴科をはじめ口腔外科,耳鼻科,形成外科,リハビリテーション科等との連携で成立していることは言うまでもない.近年のインターネットの高速化,クラウド化,処理速度の向上などによる画像処理,音声処理の概念の進歩は著しく,構音障害の治療はごく近い将来大きな進歩の潮流を形成することは間違いない.この発展は,舌がんのみでなく脳血管障害や種々の神経疾患も対象に含む新たな学問領域と治療体系の創出に直結すると考えられる.歯科補綴学はこの重要な機能領域の創出に積極的に関与することが期待される.