2017 年 9 巻 3 号 p. 255-258
症例の概要:患者は77歳女性で義歯の違和感,咀嚼困難と支台歯の疼痛を主訴に来院した.臼歯部に咬合支持がない上下部分欠損症例であった.上顎は磁性アタッチメントを用いたオーバーデンチャー,下顎はクラスプを維持装置とした部分床義歯による治療を行った.
考察:支台歯への側方力を排除し,咬合平面の修正が容易なオーバーデンチャーに磁性アタッチメントを用いることで義歯の維持安定性が増し,無口蓋の設計が可能となったことで高い患者満足度が得られた.今後は粘膜面の適合,支台歯の歯周組織,咬合状態に留意した経過観察の必要がある.
結論:磁性アタッチメントを用いたオーバーデンチャーにより高い患者満足度が得られた.