2017 年 9 巻 4 号 p. 279-284
高齢者が筋力や活動が低下している状態(虚弱)を“フレイル”という言葉で表している.“フレイル”な状態におかれている高齢者が,義歯の未装着により咬合関係が悪化すると,全身のバランス能力などに影響を与え,運動機能の低下,すなわちロコモティブシンドロームのような状態に陥ることが十分予想される.
今回,高齢者の歯の欠損による咬合状態と全身の運動機能の観点から,義歯の装着,未装着状態における全身のバランス機能に与える影響を検討し,相互の関連について明らかにすることで,義歯の重要性を再確認したい.