日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成16年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a5
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一般講演
どんぐり澱粉の物性ならびに調理特性
*矢内 絵里高橋 節子
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抄録

【目的】どんぐりは日常食としての利用が少なくなった。しかし、韓国では現在でもゲル状食品に用いられているが、どんぐり澱粉に関する研究は少ない。そこで本研究では、どんぐり澱粉の性状を糊化・老化特性から検討した。さらに調理への利用として餅を取り上げ、どんぐり澱粉を白玉粉に置換した場合の物性ならびに食味特性について研究を行った。
【方法】試料は韓国産どんぐり澱粉を蒸留水で精製後用いた。比較として馬鈴薯、とうもろこしの澱粉ならびに白玉粉を用い、加熱過程の粘度変化、テンシプレッサーによる糊の物性を測定した。餅の調製は白玉粉に水を加え、混捏・成形後蒸し加熱を行い、放冷後、冷蔵保存ならびに凍結・解凍を繰り返した際の物性変化について調製直後と比較した。餅の調製において、どんぐり澱粉の白玉粉への置換は10、20、および30%とし、無添加と比較した。さらに糖の添加による物性変化についても同様に行い、糖無添加と比較した。餅の官能評価は評点法により「特性評価」および「嗜好」について本学学生ならびに調理学研究室員の計20名をパネルとして行い、食味特性と物性との関連について検討した。
【結果】1、どんぐり澱粉の粘度はとうもろこし澱粉と近似の曲線を描き、糊の物性は硬く付着性の少ない性質を示した。2、餅の硬さ、付着性はどんぐり澱粉の添加により増加し、置換率を増すに従い大きい値を示した。3、餅を冷蔵保存した場合、硬さが大となり凝集性は低下した。しかし、凍結・解凍時の硬さは3サイクルまでは増加が抑制された。さらに糖の添加により7サイクルまでの物性変化が僅かとなった。4、官能評価の結果から、凍結・解凍3サイクル後ではどんぐり澱粉20%置換の餅が有意に好まれた。

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