日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成16年度日本調理科学会大会
セッションID: 1E-a6
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一般講演
ベトナム国ハノイで販売される浅漬の調査
*稲津 康弘川本 伸一
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キーワード: 漬物, ベトナム, 乳酸菌
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抄録

浅漬は東南アジア全域で日常的に喫食されているが、キムチ等、一部のものを除くと、研究報告は多くない。我々はベトナム食品工業研究所の協力の下、ベトナム北部地域で生産される漬物について調査を行った。2003年3月6-13日に、ハノイ市内7ヶ所にて市販される野菜発酵食品38検体を収集した。調査地域ではコールラビの葉・小玉ナス・刻みキャベツ・ラッキョ・乾燥小タマネギを原料とする5種類の漬物が販売されていた。塩濃度はナス製品が1.5%前後、他は0.5%程度であった。発酵が進んだ製品ではpHが4付近まで低下していたが、中性付近のpHのものもあった。大半の製品の一般生菌数は4-7Log-cfu/gであり、その大部分が乳酸菌(Lactobacillus,Lactococcus, Pediococcus,Leuconostostoc)であった。大腸菌群数は 2Log-cfu/g台のものが多いが、4-5Log-cfu/gのものもあった。分離された大腸菌群はKlebsiella, Proteusなど、通常の野菜(発酵食品)から分離されるものと同様であった。ナス・タマネギ漬物からそれぞれ1株ずつバクテリオシン生産性Lactococcus lactisが分離された。いずれもナイシン構造遺伝子nisAを保有しており、食中毒原因菌であるListeria monocytogenesに対して殺菌作用を示した。調査地域では納豆様の大豆発酵食品は市販されていなかったが、ナス漬物から粘物質生産性を有する納豆菌類似の枯草菌が分離された。この株の培養上澄は日本の納豆菌と異なり、Lactobacillus plantrum, L.monocytogenes等のグラム陽性菌に対して強い抗菌性を示した。抗菌活性は70℃2時間の加熱でも失われないが、30分のプロテアーゼ処理によって完全に失活した。

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© 2004日本調理科学会
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