日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成16年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-a3
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一般講演
ジアシルグリセロールの乳化特性に関する基礎的研究
溶媒和層算出の試み
*緑川 真理島田 淳子
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抄録

【目的】ジアシルグリセロール(DAG)は、W/O乳化しやすく、乳化剤なしでも乳化状態を保持することが報告されている。1)このことより、DAGは水相との界面で溶媒和層を形成することが推定される。そこで、油中における水滴の沈降速度より、溶媒和層の厚さを算出することを試みた。
【方法】油相として脂肪酸組成及びトコフェロール含量をそろえた調製DAG及びTAGを、水相として脱イオン水(H2O)及び塩類溶液(0.5M NaCl、0.5M MgCl2)を用いた。試料は相互溶解度を平衡状態にするため、ビーカーに油相と水相の試料を入れ、時々振り混ぜ70℃で6時間放置したものを用いた。0.05ml容シリンジに水相を入れ、シリンジの先端から押し出した水滴を油相中で0、3、5、10分間保持し溶媒和させ、沈降速度を測定した。各水相につき50滴以上を対象とし、この操作を5回行った。沈降速度の平均値を用い、水滴の半径(a)を算出した。一方、シリンジ中の使用した水相の容量より水滴の半径(a')を算出し、aとa'の差を溶媒和層の厚さとみなした。
【結果】TAGにおいては、溶媒和形成がみられなかった。一方、DAGにおいては、水相がH2Oの場合、水滴を油相中で溶媒和させるため保持した時間が長くなるほどaがa’より増加していた。また、0.5M NaCl及び0.5M MgCl2もそれぞれH2Oと同様の傾向がみられたが、溶媒和層の厚さを比較すると、H2Oが塩類溶液より大きかった。これらの結果より、DAGは水相との界面において溶媒和層を形成し、塩類溶液が溶媒和層の厚さを縮めると推察した。
1)Atsuko Shimada Kyoko Ohashi:Food Sci Technol.Res.9(2),142-147,2003

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