日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成16年度日本調理科学会大会
セッションID: 1A-a7
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一般講演
米飯へのプルーンエキス添加による食中毒菌増殖抑制効果
*鶴田 裕美栢野 新市伊神 孝生菊崎 泰枝中谷 延二西川 禎一
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抄録

【目的】プルーンは、抗酸化性など優れた機能性を有する果実であり、そのエキスは、健康食品として広く用いられている。料理にも利用し易く、様々な調理法によって摂取されているが、特に、プルーンエキスを米飯と混ぜる調理法は、味や栄養性のみならず、米飯の保存性を高めると言われている。プルーンは、抗菌性を示すフェノール性化合物および有機酸を含んでおり、これらの成分は米飯の保存性を向上していると考えられる。本研究は、プルーンエキスの添加が米飯中における食中毒菌の増殖に及ぼす影響を検証することを目的とした。
【方法】米飯における食中毒の代表的な菌である黄色ブドウ球菌およびセレウス菌を供試菌として用いた。試験米飯には、プルーンエキス5% (w/w)、10%添加群、食酢添加(酢飯)群および無添加群を設け、供試菌およびセレウス菌芽胞液を103から104CFU/gとなるように接種した。25℃および37℃で保存後、経時的(8から48時間)に米飯中の菌数を測定した。
【結果】試験米飯のpHは、無添加群で約6.5、5%プルーンエキス添加群で約4.8、10%添加群で約4.5、食酢添加群で約4.2であった。黄色ブドウ球菌、セレウス菌およびセレウス菌芽胞接種米飯のいずれにおいても、プルーンエキス5%添加によって、供試菌の増殖が無添加群に比べて著しく低下した。10%添加群では菌の増殖が抑制され、芽胞の発芽抑制も48時間まで持続した。また、プルーンエキス10%添加群と酢飯の増殖抑制効果を比較したところ、両者ともに強い増殖抑制および芽胞の発芽抑制を示した。したがって、米飯にプルーンエキスを添加する調理法は、酢飯と同等の抗菌性を有し、食中毒の予防に有効であることが示唆された。

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© 2004日本調理科学会
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