日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a3
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口頭発表
新たに開発した脱塩基DNA法で評価する「かまぼこ」の癌予防効果
*原田 和樹福田 奈未田丸 美紀牧野 義雄安藤 真美永塚 規衣長尾 慶子
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抄録


【目的】我々は、食品、特に醤油や煮こごり1)が持つ抗酸化能を、電子スピン共鳴装置(ESR)を用いたヒドロキシラジカル捕捉活性能やケミルミネッセンス(化学発光)法を用いたペルオキシラジカル捕捉活性能、更には、活性酸素に攻撃される側のDNAに注目して、脱塩基部位、すなわちAPサイトを利用した脱塩基DNA法で評価した食品の抗酸化能を、日本農芸化学会や日本家政学会で報告してきた。今回は、脱塩基DNA法で判明する「かまぼこ」が持つヒドロキシラジカルDNA損傷の防御能について報告する。
【方法】試料は、タラ・グチを原料とした下関産の「焼き抜きかまぼこ」などの水抽出液を使用した。アッセイ系としてのAPサイトの検出は、APサイトをビオチン化し、更にそのビオチンをアビジン・酵素で修飾して発色させる系を用い、APサイトの定量は、検量線から行った。ヒドロキシラジカルを発生させるフェントン反応は、8.8mM過酸化水素水と1.0mMの硫酸鉄を用いた。
【結果】コントロールDNAにおけるAPサイト数は100kbpあたり10.6個であったが、ヒドロキシラジカル損傷を起こしたDNAのAPサイト数は42.4個であった。ヒドロキシラジカル損傷時に「焼き抜きかまぼこ」抽出液が存在するとAPサイト数は減少し、この時の損傷防御率は65.1%であった。この事は、かまぼこ水抽出液が、DNA損傷の防御機能を持っている事を示唆した。なお、本研究の一部は、全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会の研究助成を受けて実施された。
【文献】 1) N. Nagatsuka, K. Harada, M. Ando and K. Nagao.: Int. J. Mol. Med., 16, in press (2005).

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© 2005日本調理科学会
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