日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-a1
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口頭発表
グラメラの成分特性と利用性
*武田 燈田中 美保鈴野 弘子石田 裕
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抄録

「目的」ヒトは生理的に甘味を好む。甘味料として我が国では一般的にサトウキビから得られた蔗糖が用いられている。しかしインドネシアのスラウェシなどでは砂糖椰子の樹液を濃縮したグラメラという甘味料も利用されている。グラメラは酸味のある独特の風味をもちグラは糖、メラは赤色を意味するように赤褐色をした含蜜糖であり、未精製糖であることから黒砂糖と似た成分、機能および利用特性を有することが考えられる。そこでグラメラについて、一般成分、ミネラル、糖組成、有機酸組成、抗酸化活性を測定すると共に調理特性について、黒砂糖を比較対照として検討を行った。
;「方法」一般成分およびミネラルの測定は日本食品標準成分表の試験法に従った。糖および有機酸組成はGC法で行った。また抗酸化性の測定はDPPH法を用いた。調理特性については黒砂糖および上白糖を比較対照として行った。
;「結果」一般成分は黒砂糖と大きな違いはみられなかった。ミネラル成分はいずれも鉄がほぼ10mg/100gと高い含有が見られ、その他の成分も未精製糖であることから、上白糖と比べるといずれも高いという結果が得られた。糖組成について蔗糖はグラメラが95.3%、黒砂糖は99.5%、果糖はそれぞれ3.5%と0.5%であった。またグラメラはpHが4.8と黒砂糖の6.0に比べ明らかに低く、有機酸組成をみるとグラメラは乳酸が0.7%と黒砂糖の4倍以上含まれ、酢酸も0.34%に対し0.07%と約5倍が検出された。抗酸化活性については比較実験の結果、黒砂糖ほどではないが、抗酸活性を有することが明らかとなった。またこの抗酸化活性は時間の経過、加熱による低下はあまり見られず、調理による安定性にも優れているといえる。その他調理特性として、泡の安定性は砂糖同様良好であり、表面の照りについては、グラメラが優位であった。

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