抄録
【目的】
先に熊本の菓子に対する認識度と食感の評価による嗜好の実態などについて調査研究を行い,その結果を日本調理科学会平成16年度大会にて発表した。そこで,今回は先行研究と異なる菓子を採り上げ,熊本の菓子に対する嗜好の実態およびその特性を明らかにすることを目的に,官能評価と食感の要素に着目し研究をさらに深めた。
【方法】
調査内容は,先行研究を参考に40種類の菓子に対する認識度の調査、および選定した「お城せんべい」「から芋せんべい」「黒棒」「南蛮羊羹」の4種類の菓子に対する官能検査の食感についてであった。なお,食感表現は国際規格に示されている「圧迫挙動」「物質構造」「構成配列」「くちあたり」の4項目に関連する用語を採り上げた。調査は質問紙集合調査法を用いて実施した。調査対象者は熊本市K大学の学生106人,調査時期は2004年11月であった。調査結果は単純集計とクロス集計を行い統計的に処理し分析した。
【結果】
菓子に対する認識度調査は、いきなり団子・陣太鼓・武者返しなどの菓子が先行研究と同様に高い回答率であった。菓子の官能検査は、外観・におい・かたさ・総合評価などの評価項目について行った結果、有意に好まれた評価項目は菓子により異なったが、総合評価では4種類の菓子ともに好まれ、特に「から芋せんべい」の嗜好度が高い傾向にあった。食感表現の調査では、それぞれの菓子の特性を反映した食感表現が高い回答率を示し、菓子の微妙な食感の特性をよく認識していることが明らかになった。