*堀江 秀樹平本 理恵, 焼きナスの調理条件とおいしさの関係, 日本調理科学会大会研究発表要旨集, 2008, 20 巻, 平成20年度日本調理科学会大会, セッションID 2P-26, p. 170, 公開日 2008/08/29, https://doi.org/10.11402/ajscs.20.0.170.0, https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajscs/20/0/20_0_170/_article/-char/ja, 抄録:
【目的】
 野菜の消費拡大のため、野菜をおいしく調理する方法を開発し、その要因を科学的に解明する。過熱水蒸気オーブンを用いた焼きナス調理について考察した。
【方法】
 2008年1~2月に量販店で購入した長ナスを試料とした。果皮にあらかじめ傷をつけたナスを家庭用過熱水蒸気オーブン(シャープ製ヘルシオAX-HC3)でウォーターグリル加熱した。試料中心が100℃に到達してからの加熱時間を変えたもの(「5分」、「10分」、「15分」とする)を評価に用いた。物性の評価にはクリープメーター(山電)を用い、直径8mmの円筒型プランジャーの貫入試験により硬さをもとめた。エキス量は20mmにカットしたナスをティッシュペーパーの上に置き、直径20mmのプランジャーで一定荷重をかけたときに分離されるエキスをティシュペーパーにしみこませて重量変化により測定した。ナス果実及びエキス中の糖はキャピラリー電気泳動法により測定した。平行して9~11名をパネルとして官能評価を行った。
【結果と考察】
 5分区と比べて10分区では「とろりとした食感」、「甘味」、「ナスらしい旨味」が向上し、15分区では「とろりとした食感」が10分区に勝った。ただし、15分区では重量減少率が40%に達するため、10分が調理条件として好ましいと結論された。貫入試験の結果、加熱時間につれて軟化することは確認できたが、物性試験により「とろりとした食感」については評価できなかった。果実に荷重をかけて得られるエキス量は「10分区」では「5分区」よりも有意に多く、またエキス中の糖濃度は4.5%程度であり、加熱による甘味の増加はエキス量の増加に関係するものと考えられる。