日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 1A-4
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口頭発表
品種の異なる奈良漬キュウリの化学的特性と食味評価
*山口 智子鈴木 景子筒井 和美高村 仁知
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抄録


【目的】
 奈良漬は、奈良の特産品の一つとして広く知られている高級漬物である。ウリをはじめ、キュウリ、スイカ、ダイコンなどの野菜を6ヶ月から12ヶ月間塩漬けした後、酒粕で数回漬け替えて作られる。キュウリの奈良漬は、「朝風」という品種を用いて製造されることが一般的であるが、昨今、大和野菜の一つである「大和三尺」を使った奈良漬が新たに製造されている。「大和三尺」は、全長30~35cmの長型のキュウリで、果肉は緻密で歯切れがよく、種が少ないことが特徴とされている。本研究では、「朝風」および「大和三尺」を原材料とした奈良漬キュウリの化学的特性、物理的特性および嗜好性を調査することを目的とした。
【方法】
 奈良市内の製造業者で製造されている「朝風」および「大和三尺」の奈良漬キュウリを試料とした。一般成分として水分、タンパク質、灰分、アスコルビン酸量、嗜好成分としてpH、Brix糖度、塩分、エタノール含量、褐変度を測定した。さらに、機能性成分としてラジカル捕捉活性および総ポリフェノール量、物理的特性として破断特性の測定を行うとともに、官能検査により嗜好性を調べた。また、加工前の生のキュウリについても同様に測定した。
【結果】
 奈良漬キュウリは生キュウリに比べて高いラジカル捕捉活性を示し、奈良漬に加工するにより機能性を付与できることが明らかになった。奈良漬キュウリにおいて、「朝風」と「大和三尺」の一般成分、嗜好成分、機能性成分に大きな差はみられなかった。しかし、破断特性に違いがみられ、官能検査においても「大和三尺」の方が「朝風」より硬いと評価された。また、「大和三尺」は色が濃く、アルコール風味も強く感じることから好まれない傾向にあった。

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