日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成22年度日本調理科学会大会
セッションID: 1P-10
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ポスターセッション
伝熱解析に基づく肉調理過程のタンパク質変性および旨味成分変化
*石渡 奈緒美福岡 美香濱田 奈保子酒井 昇
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抄録

【<B>目的および背景<B>】畜肉は調理過程において主成分のタンパク質が熱変性し,これと同時に旨味成分にも差が生じると予想される.畜肉の主な旨味成分はグルタミン酸(以後,Glu)とイノシン酸(以後,IMP)である.Gluは調理温度帯による熱分解がないとされるが,水溶性アミノ酸のため加熱時に生じるドリップに流出する可能性が考えられる.またIMPは,畜肉中に存在するIMP分解酵素に起因し,加熱温度がIMP残存量に影響すると考えられるが,伝熱解析に基づくこれらの予測計算は未だ行なわれていない.そこで本研究は,プロの料理人が行う真空低温調理法を一例とし,調理過程における伝熱進行に伴うタンパク質変性分布を示すとともに,GluとIMPの経時変化シミュレーションから低温調理法を検証することを目的とした.<BR>【<B>方法<B>】_丸1_Gluは「ヤマサL-グルタミン酸測定キット_II_」を用い,加熱後の畜肉とドリップ中のGlu量を測定した._丸2_IMP量はHPLC分析より求めた.加熱後の畜肉2gに10%過塩素酸溶液5mlを加えホモジナイズし,遠心分離後の上清溶液を抽出溶液とした.抽出溶液をpH7.0に中和し,10倍希釈した溶液を測定に用いた.カラムはShodex Asahipak GS-320HQ(昭和電工(株))を使用し,波長260nmにおけるUV吸収で検出した.<BR>【<B>結果<B>】Gluはドリップに流出すること,IMPは分解酵素の至適温度前後でIMP分解反応速度の温度依存性が確認された.低温調理法を模擬した熱伝導解析にてタンパク質変性分布を解析したところ,通常の調理法に比べタンパク質変性率が低いことが判明した.この低い変性率が重量減少率を抑制,およびGlu残存量抑制につながると思われる.しかし,低温調理法はIMP分解酵素の活性温度帯滞在時間が通常の調理法よりも長いため,畜肉内部のIMP残存率は低くなることが判明した.

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© 2010日本調理科学会
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