日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成22年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-7
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ポスターセッション
米粉を用いた揚げ衣の重量変化と食味特性
*平尾 和子三星 沙織井上 葉子
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抄録

[目的] 米粉を用いた揚げ衣の吸油量を求める基礎研究として,異なる加水倍率で天ぷら衣を調製後油揚げし,衣の重量変化および鍋内の残油量から吸油量を数量化するモデル実験を試みた。官能評価は米粉及び小麦粉で調製した揚げ衣の食味特性と嗜好について行った。
[方法] 米粉(2007年茨城県産コシヒカリ,ロール法粉砕,(株)波里)あるいは小麦粉(薄力粉フラワー,日清製粉(株))に蒸留水(以後,水とする)または卵液(水温15±1℃)を粉重量の1.6~2.4倍加えて衣(以後,バッターとする)を調製した。卵液は全卵(市販品,約52g)を濾した後,重量に対して3倍量の水を加えて混合した。バッターの物性測定はクリープメーター(RE2-3305B,(株)山電)で行った。バッターをクッキングシートに約4g平らに乗せ,大豆・なたね混合油((株)J-オイルミルズ製)を用いて170±2℃で2分間揚げた後網上で5分間油切りし,揚げ衣の重量を測定した。鍋内の残油量はバッターを約10個揚げた毎に測定した。官能評価は色,厚さ,硬さ,サクサク感,味,油っぽさ等の項目を食味特性と嗜好について7段階評価法により行った。パネルは本学学生および教職員30名とした。
[結果] バッターの硬さおよび付着性は,米粉・小麦粉ともに加水量が多くなるに従って減少し,同じ加水量では米粉バッターは小麦粉に比べて硬さおよび付着性がともに大となった。揚げ衣の重量減少量は米粉の方が小麦粉よりも大であった。また米粉の残油量は小麦粉に比べて多かったことから,米粉衣の吸油量は小麦粉衣に比べて少ないと推測された。官能評価では米粉衣は水,卵液のいずれも油っぽさがないと評価され,この項目で好まれた。以上のことから,米粉衣は吸油量が少なく,油っぽさの少ない衣であると考えられた。

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