抄録
【目的】食環境における色彩コーディネートは食生活を豊かにする工夫のひとつであり、色の果たす役割は大きい。本研究では、色のもつ食に関するイメージの特徴を検討することを目的とした。
【方法】栄養士養成課程所属の学生31名に対して質問紙調査を行った。味覚と食感に関わる内容を含む15の形容詞項目を選定し、10種類の色ごとに5段階評定(「かなりあてはまる」から「全くあてはまらない」)を求めた。項目に対する評定値から各色の評定平均値を求め、10種類のプロフィールを作成した。次に、その形を手がかりにして、複数の判定者による合議により類似していると判断される色を分類した。また、10種類の色について因子分析を行い、抽出因子との関わりから色のもつ食に関するイメージの特徴を検討した。
【結果】栄養士養成課程所属の学生6名の合議による分類の結果、(1)“オレンジ・ピンク・赤・黄・白”、(2)“黒・茶”、(3)“緑・青・紫”という3つに分類された。各分類を代表する食に関するイメージを検討したところ、(1)と(2)ではそれぞれ主に、“食欲を増す・甘い・あたたかい・やわらかい・あかるい”、“苦い・渋味がある・味が濃い”という特徴があることが指摘された。(3)では「緑」が「新鮮だ」を表わす以外は、明確なイメージが見出し難いことが指摘された。一方、因子分析の結果では3因子が抽出され、第1因子に“茶・黒・紫”、第2因子に“オレンジ・ピンク・赤・白”、第3因子に“緑・青・黄”がまとまった。各因子の食に関するイメージの特徴として、それぞれ主に、“味が濃い・苦い”、“食欲が増す・塩味がある・やわらかい”、“新鮮だ・さっぱりしている”といった特徴をもつことが示唆された。