日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成22年度日本調理科学会大会
セッションID: 1D-a4
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口頭発表
粉砕方法および粒度の異なる抹茶の起泡性と泡沫径
*沢村 信一一谷 正己池田 博子園田 純子
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キーワード: 抹茶, 粒度, 起泡性, 泡沫径
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抄録

「目的」 抹茶を点てることによってできる泡沫は,気体と液体に加えて固体が関与する。これまで,抹茶の粒度が微細になることによって起泡性が高くなることを示してきた。このとき、泡沫の状態の変化については不明であった。さらに,粉砕方法および粒度の異なる抹茶は,粒子の形状や乾燥状態での物性が異なっている。今回,粉砕方法および粒度の異なる抹茶を用いて起泡性および泡沫径に与える影響を調べた。 「方法」 使用した抹茶は,以下の5種類である。1)ボールミル抹茶(17.5 μm ),微粉抹茶(4.6 μm ),粗粉抹茶(19.1 μm ),石臼抹茶(18.3 μm ),ジェットミル抹茶(2.9 μm )。カッコ内は,各抹茶の中位径を示す。使用した粉砕機を,それぞれの抹茶の名称とした。微粉抹茶と粗粉抹茶は,ボールミル抹茶を気流式分級機により10 μm で分級した。起泡試験は,抹茶椀へ抹茶1_g_および湯(80℃)50 ml を入れ,起泡装置にて400回/分で 30秒間撹拌した後,泡沫容積,泡膜液,膨張率などを測定した。泡沫径は,同じように起泡させた泡沫をディスポタイプの樹脂製シャーレ(φ85 mm ,高さ12mm,容積70 ml )に入れ,マイクロスコープにて画像を撮り,画像解析ソフト(WinROOF)にて泡沫径を測定した。 「結果」 起泡性試験では,抹茶の中位径が細かい方が,起泡性が高かった。ボールミル抹茶,微粉抹茶,粗粉抹茶を用いて,抹茶濃度を1~4_%_と変化させたとき,濃度が高い方が起泡性は高かった。この結果から,抹茶の粉砕方法による起泡性の違いは無く,粒度に依存していることが示唆された。画像撮影から,抹茶粒子は泡膜の内面に沿って配位していることが分った。

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