日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 1P-59
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ポスター発表
微細粒粉米粉を用いたスポンジケーキの焼成時内部温度と生地や製品の特徴
*八木 千鶴大喜多 祥子奥山 孝子樋上 純子細見 和子山本 悦子米田 泰子渡辺 豊子
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抄録

【目的】近年、従来の上新粉に比べ微細粒に製粉された米粉が開発され、パン用やケーキ用米粉として普及してきた。そこで、微細粒粉の米粉を用いたスポンジケーキの焼成時内部温度と生地や製品の特徴を、従来の小麦粉を用いたスポンジケーキと比較し、米粉スポンジケーキに適した調製方法の検討を目的とした。
【方法】材料配合は、卵:グラニュー糖:米粉または小麦粉を5:3:3とし、米粉は栃木県産「あさひの夢」(気流粉砕法、波里)、小麦粉はバイオレット(日清製粉)を用いた。焼成は、径15cmのケーキ型を用い、160℃のガスオーブンで38分間とした。米粉は38分間では焼成不足であったため、45分間焼成を行った。米粉と小麦粉の熱特性を明らかにするためDSC測定を行なった。焼成時の内部温度履歴は中央部と端部の底面より30・35・40mm点を測定した。生地については粘度・比重を、製品については重量・高さ・色および物性を測定した。
【結果】熱特性では、米粉は小麦粉に比べて糊化開始・吸熱ピーク・糊化終了時の各温度が高温側にあり、エンタルピーは大きかった。中央部の内部温度は、焼成約28分までは米粉の方が高いがそれ以降は小麦粉に比べ低くなり、小麦粉より長い焼成時間が必要となった。端部は小麦粉とほぼ同様の温度経過であった。米粉生地は比重が小さく、粘度も小さかった。米粉製品の高さは小麦粉よりやや低く、色は表面が濃く、内部は黄色味を帯びていた。物性は、内部は柔らかくて凝集性が大きく、上面端部は硬かった。以上の結果、米粉スポンジケーキの焼成には、内部と端部の温度勾配を考慮する必要性が示唆された。

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