日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a6
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口頭発表
下関水産伝統加工食品アルコール漬け瓶詰ウニ塩辛の抗酸化能ORAC値
*原田 和樹福田 翼前田 俊道和田 律子伊豫田 有美古下 学小川 剛太郎中島 豪芝 恒男
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抄録

【目的】下関の水産伝統加工食品であるアルコール漬け瓶詰ウニ塩辛の歴史は、明治初期、下関市の西教寺の蓬山和尚の考案とされ、ウニに誤って酒をこぼし、そのウニを口に含んで美味であった事がその始まりとされているが、長い歴史の割に、ウニ加工品の研究は少ない。本学会では、アルコール漬け瓶詰ウニ塩辛が、抗酸化能をどれくらい有しているか、イン・ビトロ系のORAC法を用いて、ペルオキシラジカルの消去活性能で調べた結果を報告する。
【方法】試料は、山口県うに協同組合の商品を中心に、粒ウニ塩辛18種類、練りウニ塩辛5種類、和えものウニ塩辛10種類、生ウニ生殖巣2種類、瓶詰前の塩・エタノール添加の半生加工ウニ1種類の合計36種類を用いた。試料抽出法は水抽出で行い、抗酸化能は、定法に従ってHydrophilic ORAC値を測定し、測定結果はμmol Trolox当量(TE)/100 gで表した。
【結果】粒ウニ塩辛18種類のORAC値の平均は2,099 μmol TE/100 g(以下、単位略)であり、高い抗酸化能を示すと評価した。一方、練りウニ塩辛5種類の平均は1,420であり、粒ウニ塩辛に比べてORAC値は低くなった。和えものウニ塩辛10種類の平均は1,196であり、さらにORAC値が低い結果となった。一方、バフンウニとチリウニの生ウニ生殖巣の平均は1,909、瓶詰前の塩・アルコール添加ウニのORAC値は、1,941であった。すなわち、生ウニの高いORAC値は、粒ウニ塩辛に比較的反映されているものと推察した。ORAC値の高い順に結果を示すと、粒ウニ塩辛>練りウニ塩辛>和えものウニ塩辛であり、この差は、ウニの含有量の違いによる可能性が示唆された。

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