抄録
【はじめに】在宅障害者は,火を使わないため火災や火傷の心配が少なく安全であるとされることからIHクッキングヒーター(以下IH)の導入を検討されることが多い.我々はこれまで身体障害者の調理活動の困難点を分析し報告してきたが,今回,その結果を反映し改良された,高齢者・障害者に使いやすいIHのユーザビリティー調査を行ったので報告する.
【対象】調査研究の目的・方法などを十分に説明し同意を得た,日常の調理活動を主として担う在宅片麻痺者2名(右片麻痺女性74歳、左片麻痺女性68歳),日常の料理活動を担っていない在宅片麻痺患者1名(右片麻痺女性69歳),本学作業療法学科3年生21名(男性9名,女性12名)を対象とした.日常の調理活動を担う2名の片麻痺者はIHの使用経験があった.
【方法】工程毎に抽出したチェックポイントと観察事項を記載する評価表を作成し,IHの操作方法は一切説明せず,自ら探索し鍋で湯を沸かす動作を観察し評価と分析をおこなった.
【結果と考察】今回の主たる改良点である①火力調整スイッチを天板配置②火力の色ゲージ表示③操作に対する音声ガイド④操作手順をスイッチ横に数字で表示したことは,概ね使いやすさに繋がっていた.また,スイッチの天板配置は,前傾姿勢となりのぞき込む必要が無くバランスを崩すことなく安心感に繋がった.一方,火力具合がわかりにくい,音声ガイドは煩わしいなどの意見もあった.火の立ち消えの心配がない,掃除が楽そう,着衣発火の危険がないなど,IHの特徴に言及するものも多く,改良点に加えて,現在使用している機器と操作法との比較,操作性と安全性の両立,低価格化などが導入の要因になると考えられた.