日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a2
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口頭発表
American Association of Cereal Chemists (AACC)変法で求められた食パンクラムのCompressive force value (CFV-2) と指先および口内感覚との関係
井村 智郁*佐藤 之紀
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キーワード: パン, クラム, かたさ
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抄録

【目的】消費者は食パンを食べる際に,指先がパンに触れる感覚などの情報を基に,最終的には歯で噛んで食パンの力学物性を認識している。先に,指先感覚をシミュレーションするために,食パンの力学物性測定の標準化の方法といえるAACC法を改良してCFVに準拠したパラメータ(以後,CFV-2とする)を考案した。ここでは,パンの指先感覚とパンの口内感覚との関係を調べ,AACC変法との関連性を検討した。
【方法】AACC法に準拠したAACC変法にしたがって,直径20mm (AACC法では21mm) の円筒プランジャーを用いて,等速直線運動で一回,家庭用製パン器 (Panasonic SD-BM103)で焼いた厚さ25mmパンのクラム部位(クラストによるend effectを無視できる部位)をpenetrateさせて,deformation curve (FTL曲線) を描き,25 % deformation (L=6.25 mm)での力(CFV-2)を求めた。さらに,指先感覚と口内感覚は,食パンを密閉して,5℃へ保存して老化を誘起したパンを用いて,経過日数とかたさ(7点評価法)の関係を調べた。
【結果】食パンを5℃に保存すると,老化が誘起され,経過日数とともにCFV-2が高くなり,かたくなる。しかし,CFV-2の経過日数に対する増加率は一定ではなく,5℃での保存開始から初期(1~2日目まで)のCFV-2増加率が高く,その後は緩やかになった。この力学物性の変化は,指先で圧して得られた指先感覚の官能評価値とパンを噛んで得られる口内感覚の評価値も同じ傾向を示した。したがって,食パンの力学物性値を求める場合,パネルが噛んで得られる口内感覚をパネルの指先感覚で代用することが可能であり,AACC変法での機器測定で得られたCFV-2を用いて,まずはパネルの口内感覚を予想することが可能と思われた。

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© 2013 日本調理科学会
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