日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 1D-a2
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口頭発表
コロッケの冷凍過程,保存過程が衣の水分量に及ぼす影響
*鈴木 麻希上野 真理浅井 智子富田 美鈴杉山 寿美
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抄録

【目的】フライ調理の外部化は著しく,家庭内で揚げ加熱を行って直ちに食することは少なくなっている。そこで,揚げ加熱前の冷凍過程,揚げ加熱後の保存過程が,フライの嗜好性に及ぼす影響を把握することを目的とし,本研究では,コロッケを試料として衣への水分移行を測定した。
【方法】コロッケの調製:バッターは,小麦粉:水=1:2とした(コントロール)。また,粉重量の30%をリン酸架橋澱粉(タピオカ,とうもろこし,小麦),ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉(タピオカ)に置換したものも調製した。バッターにマッシュポテト30gを浸し,パン粉をまぶす作業を2度繰り返し,中心温度が75℃となるよう180℃で加熱した。体積・水分量:コロッケの体積は菜種法で,水分は天秤式水分計(ザルトリウス)を用いてマッシュポテトと衣を分けて測定した(135℃)。モデルバッターへの水分移行:スチームオーブンで加熱調製したバッターシートを,25℃・恒湿下(28-78%)に置き,4時間に水分量を測定した。また,バッターをマッシュポテト(水分量70%)上に置き,パン粉をのせたものも行った。
【結果・考察】重量:揚げ加熱によりわずかに減少した。保存により,全体重量およびマッシュポテト重量は減少したが,衣重量は増加した。水分量:保存により,衣の水分量は著しく増加した。冷凍したコロッケは冷凍していないコロッケよりも揚げ加熱後の衣の水分量は低かったが,保存により水分量は増加した。モデルバッター:いずれも湿度下でもバッターの水分量は減少し,マッシュポテト上に置いた場合も減少した。まとめ:コロッケの衣に,揚げ加熱前の冷凍過程,揚げ加熱後の保存過程でマッシュポテトから水分移行が生じていること,バッターの水分量が外湿度の影響を受けないことが示された。

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© 2013 日本調理科学会
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