抄録
【目的】阿波ういろうの嗜好には、香り、食感、甘さなどが関係しているとされる。これまでに、筆者らは上新粉のみで調製したものは保存日数の経過に伴いかたくなることを報告した。そこで、保存してもやわらかいういろうを調製することを目的とし、上新粉の一部を白玉粉に置き換えて調製したういろうの食品特性および嗜好性に与える影響について検討した。
【方法】小豆あん、上新粉、水を基本材料とした阿波ういろうを0%添加試料とし、上新粉の5、10、15、20%を白玉粉に置き換えた試料を調製した。調製した試料について調製当日、保存経過3日目および5日目の破断強度、テクスチャー、水分含有量および色彩(L*、a*、b*値)を測定した。さらに、本学学生をパネラーとして調製当日の試料を用いて官能評価を実施し、嗜好性を検討した。
【結果】調製当日試料の破断強度を測定した結果、0%添加試料は1.732×106N/m2であり、5、10%添加試料とでは有意差はみられなかった。一方、15、20%添加試料では破断強度は低くなり、有意差がみられた。しかし、5~20%添加試料において保存経過3日目までは、有意差はみられず、白玉粉添加が破断強度の上昇を抑制している可能性が考えられた。色彩では、白玉粉添加によりL*値が低下し、肉眼では艶がみられた。0%と5~20%添加試料の色差(⊿E)では、「感知し得るほど異なる」と判定された。テクスチャーでは、白玉粉添加により凝集性は高くなり、口腔内でまとまりやすい特性をもつことが示唆された。官能評価の評点法と順位法では有意差はみられず、20%添加までは白玉粉添加による嗜好性への影響はないと考えられた。