日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 1E-a2
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口頭発表
電子レンジ加熱における糖質化合物によるカテキン類の抗酸化能減少抑制効果
西井 彩*北尾 悟安藤 真美
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抄録

【目的】カテキン類は熱水抽出により調製されるため比較的安定ではあるが、中性からアルカリpH領域では不安定である。外部加熱法の1つである湿式加熱におけるグルコース、フルクトース、スクロースによるカテキン類減少抑制効果はすでに見出している。今回、内部加熱法である電子レンジ加熱によるこれら糖質化合物の効果を検討した。【方法】茶カテキン類で最も含有量が高く生理活性も強いとされているエピガロカテキンガレート(EGCg)を90%以上含むサンフェノンEGCg(太陽化学製)を用いて検討を行った。含有量を90%とし最終濃度が1 mM EGCg、1 Mグルコース、フルクトース、スクロースとなるよう水溶液(pH 7.0)をそれぞれ調製し、500 W、0, 30, 60, 90秒加熱処理(シャープ製 AX-HC4)を行った。処理後の水溶液を逆相系HPLC分析によるEGCg残存量、ならびに化学発光系によるペルオキシルラジカル捕捉活性(IC50値)を指標とした抗酸化能の測定を行い、糖質化合物による減少抑制効果を検討した。【結果】HPLCによるEGCg定量の結果、糖質化合物が共存したほうが残存量が多い傾向を示したが、共存しない場合との有意な差は見られなかった。しかし、ペルオキシルラジカル捕捉活性において、60、90秒加熱時に糖質化合物が共存した場合、優位にIC50値が低い値を示した。調べた3種類の糖質化合物間での差は見られなかった。残存EGCg量と抗酸化能との間で相関が見られたため、電子レンジ加熱において糖質化合物が共存した調理・加工手段は、カテキン類の機能性保持をもたらすことが示された。

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© 2013 日本調理科学会
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