日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2B-p4
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口頭発表
咀嚼・嚥下困難者の食事におけるフレーバーリリース(第2報)
-咀嚼動作時の圧縮応力によるフレーバーリリース-
*荒井 恵美子久松 裕子佐藤 吉朗長尾 慶子
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抄録

目的:とろみ調整剤の香気フレーバーリリースについて、前報1では、におい識別装置と官能評価により、集合体として捉えたにおいを評価した。その結果、口に入れる前のにおいはとろみ調整剤を添加すると弱まり、口に入れた後のにおいは有意に強いと評価された。そこで本研究では、咀嚼動作時の圧縮応力を想定したにおいを測定し、前報との相関性を検討した。またGC/MSで試料の特徴的な香気成分を捉え分析した。これらの結果を基に、具体的な調理上の工夫を提案する目的で香辛料わさびの量を変えてにおいを比較した。方法:煮干しは粒径を揃えた粉末を、わさびは粉わさびを、とろみ調整剤は原材料の異なる2種類を用いた。蒸留水各20mLに[わさび]、[煮干し]、[わさび+煮干し]を加えた試料と、それぞれに寒天系およびキサンタンガム系のとろみ調整剤を加えた試料を調整した。これらに圧縮試験で一定の力を加えた際のにおいを、におい識別装置およびGC/MSで測定評価した。また、わさびの量を1/2、1/10に変化させた場合のにおいを測定した。結果:とろみ調整剤添加試料は圧縮応力が加わるとにおいが強まることが認められた。このことより、とろみ調整剤に一旦包括された香気成分が力を加えることで放散されたのではないかと推測された。GC/MSの結果より、わさびの主要香気成分Allyl isothiocyanateの量に変化が認められた。わさび量1/10試料のにおいの質に大きな変化が認められた。以上の結果より、とろみ調整剤を添加した食品中でわさびのマスキング効果を保持するためには、においの抑制ばかりでなく口中での放散も考慮して添加量を調整する必要があると示唆された。1荒井他:日本調理科学会平成24年度大会研究発表要旨集,1D-a3,p.7(2012)

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