日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2C-a3
会議情報

口頭発表
ハトムギ粉を用いた小麦粉代替食品の適応性の検討
*渡辺 裕子久松 裕子赤石 記子永塚 規衣長尾 慶子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】ハトムギはイネ科ジュズダマ属であり、東南アジアが原産地である。日本国内でも生産され、穀類の中では唯一漢方薬として利用されている。しかし、ハトムギを食品材料として利用することは少なく、その調理特性や性質についてはあまり知られていない。本報ではハトムギ粉の小麦粉代替食品としての適応性を検討することを目的とし、小麦粉を対照に糊化温度、糊化エネルギー、および吸水量等の基礎特性を比較し、クッキー作成時の物性と嗜好性について検討した。【方法】1)示差走査熱量計により、糊化温度および糊化エネルギーを算出した。2)小麦粉ドウとハトムギ粉ドウの圧縮応力がほぼ同程度になるよう圧縮試験を実施し、ハトムギ粉の加水量を決定した。3) ハトムギ粉代替0、50、および100%ドウで一般的な配合割合のクッキーを焼成し、スプレッド値[直径(mm)/厚さ(mm)]と、生ドウとの重量変化率を測定した。4)上記粉の割合の異なるクッキーについて破断強度試験、色度測定および官能評価(評点法、9段階嗜好意欲尺度法)を実施し、製品の品質を総合的に評価した。【結果】1)ハトムギ粉は小麦粉に比べ糊化温度が約10℃程度高温側にあった。しかし糊化エネルギーは平均-4.3mJと少なく、糊化進行速度が大で、容易に糊化が進行していた。2)小麦粉ドウと同程度の硬さにするには、水分量として1.5倍加水する必要があった。3)重量変化率は小麦粉より大、スプレッド値は小で、水分蒸発量が大で硬いことを示していた。4)ハトムギ粉の配合が増すほど、破断応力[Pa]が大で明度が低下した。官能評価からも、舌触りや硬さが大で評価が低かったが、ハトムギ独特の香りは小麦粉と同程度に好まれた。

著者関連情報
© 2013 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top