抄録
【目的】日本でエディブルフラワーという言葉が一般的に知られるようになったのは近年であるが、古くより利用されている。その利用目的は、欧米では料理に彩や香りを添えることを主としているのに対し、日本では賞味することを主とし発展してきた。その例としてミョウガ、フキノトウ、菜の花、菊、カンゾウなど、目で楽しむとともに実際に食べることを主目的として利用されている。そこで本研究では、日本におけるエディブルフラワーの利用法と、ハナオクラの花の成分と抽出された水溶性食物繊維について血糖値上昇抑制の機能性を検討した。
【方法】調査は「聞き書き日本の食生活全集(農文協)」などを利用した。成分分析は日本食品標準成分表の試験法に従った。抽出された水溶性食物繊維(SDF)の粘度測定は振動型粘度計SV-10を用いた。インビトロによるグルコース拡散・吸収阻害試験はマイクロファイバーフィルターで仕切られた拡散速度阻害装置を用いて行った。
【結果】日本では花を通常の食材と同様に調理素材として扱っているものが多く、摂取量も10グラム以上となるものも多くみられる。ハナオクラは市場に出回りにくいが、茹でるとショキショキ感と粘性を併せ持つ独特の風味を有する。生の状態の水分は90%、無水物換算で100g中たんぱく質13.9g、脂質3.0%、炭水化物(食物繊維を除く)34.9g、灰分8.8g、SDFは8.2g、不溶性食物繊維は31.1gであった。SDF溶液の粘度は20℃で0.25%では0.528Pa・s、0.50%では2.42 Pa・sであった。またインビトロにおけるグルコース拡散阻害率は水を0%としたとき0.25%溶液では89.8%、0.5%溶液では97.1%であった。